マレーシア・トレンガヌ(Terengganu)州当局は30日、同州でトランスジェンダー女性を対象とした「コンバージョン・セラピー(性的指向の転換セラピー)」を実施する計画があることを明らかにした。この計画に対し、国民の大半をイスラム教徒が占める保守的な同国でLBGT(レズビアン、バイセクシュアル、ゲイ、トランスジェンダー)活動家らが警鐘を鳴らしている。
同州当局者によると、セラピーは来年、専門家によるトランスジェンダー人口の調査が実施された後、数日間にわたって実施されるという。
トレンガヌ行政会議のメンバーを務めるガザリ・タイブ(Ghazali Taib)氏はAFPの取材に、「トランスジェンダーの人々は私たちの社会の一部であり、私たちに責任がある」と述べ、コンバージョン・セラピーへの参加は任意であると付け加えた。
同氏によると、同セラピーのプログラムには医療、心理、宗教の各専門家と「普通の生活に戻った」トランスジェンダーの女性たちが参加するという。
トレンガヌ州当局によるこの計画に対しては反対する声も上がっている。マレーシアの代表的なトランスジェンダー活動家、ニシャ・アユブ(Nisha Ayub)氏は、このようなセラピーを実施することでトランスジェンダーのコミュニティーをさらに孤立させることになると述べ、「これ(コンバージョン・セラピー)は人々の人権を侵害する矯正セラピーのように見える」と付け加えた。
マレーシアはトランスジェンダーの正式人口数を公表していないが、同国保健省の記録によると、2014年には推定2万4000人のトランスジェンダーの人々が同国の性産業に従事していたとされる。