美しすぎるタイ人ニューハーフが日本の下呂温泉で働く理由
 LGBTという言葉が注目を集めて久しい。ゲイやレズなどの同性愛といえば、昨今では渋谷区をはじめ、全国各地の自治体で「同棲パートナーシップ証明書」が交付されるようになった。テレビなどのメディアでもLGBTタレントは増え続け、その存在が親しまれるようになってきた。しかし日本は、まだまだその認知度や受け皿においては発展途上国である。



 ニューハーフたちのメッカ、いわば先進国であるタイランドでは、彼らを“レディボーイ”と呼ぶ。マクドナルドの店員から飛行機のCAに至るまで堂々とニューハーフ(レディボーイ)が採用されているなど、お国を挙げて寛容な方針がとられている。



 そんなタイのレディボーイがいかに美しいことか……。ナナプラザなどの歓楽街では、日本人のおじさん観光客が女性と間違えてペイバー(お持ち帰り)してしまいドヤ顔で去っていく姿を幾度となく目撃してきた。かくいう私も間違えちゃって何度かレディボーイをお持ち帰りした経験がある。とはいえ、現地の女性でさえ「タイのレディボーイはカワイイ!」と豪語するほど。そう、レディボーイのなかには、もはや注意していてもわからないぐらい驚異的な美しさを誇るコもいるのだ。



 今回は私が出会ってきたなかでも特に美しいタイ人レディボーイを紹介したい。彼女(彼?)の名はナップちゃん。現在は、日本の下呂温泉で働いている。



 果たして、彼女はなにを考え、どのような経緯でタイから日本に移り住んだのか。そして、いまの生活はどうなのか。その生き様を直撃してみた。



◆美しすぎるタイ人ニューハーフとの出会い



 ……と、その前に、まずはナップちゃんとの出会いから説明したい。私はタイの首都・バンコクに住んでいるフォトグラファーだ。彼女と知り合ったのはマッチングアプリのティンダーがキッカケだった(日本と同様にタイでも流行っている)。



 私は普段から、そこで作品撮りのモデルを探しているのだが、“LIKE”が限度いっぱいになるまで右スワイプをしまくっていると、夜には5縲?6人の女性から反応がある。そこで意気投合したのが“レディボーイのナップちゃん”というワケだ。



「僕とフォトセッションをしないか?」



 ある日、サイアム・スクエアの近くで落ち合うことになり、彼女の姿を見て驚いた。レディボーイであることは事前に知っていた。だが、物静かな雰囲気から妖艶なオーラを漂わせ、元は男性である事を忘れてしまうほどの美人だった。



 なぜ撮影を快諾してくれたのか。当時、彼女がこう語ったことが印象的だった。



「レディボーイはタイで受け入れられてはいるけど、あまりプラスではないの。人々の目は、まるで腫れ物を見るかのよう。だから、レディボーイの素晴らしさを世界の人たちに伝えたい。私たちが美しい世界で生きていることを知ってもらいたいの」



 実際にナップちゃんはレディボーイのミスコンテストにもエントリーしており、様々な賞を獲得している。あるときはファッションブランドのモデルをこなしたり精力的に活動する傍ら、チャオプラヤー川のそばで家族が経営しているレストランを手伝っていた。



 何度か彼女とフォトセッションするうちに、誕生日会やレストラン兼自宅にも招かれるようになった。チャオプラヤー川に面しているだけでなく、船着場であることから多くの客船が往来しており、レストランは繁盛していた。その裏には大きな母屋があり、ナップちゃんはレディボーイフレンドたちと数人で同居生活を送っていたのだ。



◆彼女が下呂温泉で働く理由「自分の将来のため」



 そんな彼女がどのような経緯で日本へ渡り仕事を得たのか。



 友人の紹介で日本人の“ボス”と知り合ったナップちゃん。ボスは、タイのレディボーイたちを日本の温泉や観光地に斡旋する正規の業者だという。下呂温泉で働くためには、ダンスオーディションを受ける必要がある。合格すると、1か月間のレッスン期間があり、それを乗り越えると晴れてジャパン行きの切符が手に入る。



「このままタイでくすぶっているより、日本で新しい経験や刺激を得て、モデルやダンサーとして“ジャパニーズ・ドリーム”を掴みたいって思ったの」



 こうして厳しい審査を経て日本の下呂温泉へと渡ったナップちゃん。現在はニューハーフダンサーとして働いているのだが、どんな暮らしぶりをしているのか。



 下呂温泉でニューハーフショー!?と聞けば意外に思われるかもしれないが、ここでは都内の有名ダンサーを集めたポールダンスショーが開催されたり、ものまねショー、マジックショーなど、あらゆるエンターテイメントが盛り込まれているそうだ。



 そんなナップちゃんの日常だが、朝10時に起きて朝食を作り、17時にホテルへ向かうのだという。その間は、ショッピングやタイ人の友達と街をプラプラするのが日課らしい。ショーは2部制で、夜の22時まで働く。



 とはいえ、「お給料は2万バーツ(約6万5000円)ぐらい」だという。物価の高い日本で生活するには、少し安くも思えるが……。



「私は下呂温泉にお金のために来ているのじゃない。自分の将来のためよ。ここでの経験を活かしていきたい。もちろん、お給料のほとんどは家族に仕送りをしている。残ったお金は預金して、未来に備えているの」



 まさに質素倹約。実際はお給料のほか、お客さんからチップをもらえることも少なくないのだとか。タイ人の仲間たちとアパートで共同生活を送り、自分の夢を追いかけながら、祖国の家族を想う。



「ワタシハゲンキニヤッテイルヨ!」



 彼女の人生はまだ始まったばかりだ。ひたむきに頑張る姿を応援せずにはいられない。これからも彼女を撮り続けていきたいと思う。



◆おまけ:温泉では女湯なのか男湯なのか?



 久しぶりに会ったナップちゃんの胸がひとまわりもふたまわりも大きくなっていた。「どうしたの?」と尋ねると、日本に行くことが決まった後に豊胸手術を受けたそうだ。だが、股間のほうにはまだブツが残されているのだという。そこで、温泉のメッカである下呂では“女湯なのか男湯なのか?”という素朴な疑問をぶつけてみた。すると、キュートな笑みを浮かべながらこう言った。「女湯だよ、エヘヘっ」。もっぱら大きなムスコを携え女湯に入るという、その姿を想像するだけでムラムラしてくるのは私だけだろうか。
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