バー:性的マイノリティー運営「おっかまん」 開店3年、館林「夜市」名物屋台 「同じ市民」の居場所に
東武鉄道館林駅近くで毎月第3土曜日夜に地元商店街が主催する「下町夜市」に、性的マイノリティーの当事者らが運営する屋外おかまバー「おっかまん」が出店している。「どのような性のあり方でも同じ市民」という思いから開いたバーには、年代や性別、国籍を超えてさまざまな人々が立ち寄り、酒を酌み交わす。バーは今月、出店から丸3年を迎えた。【塩田彩】



 今月18日の下町夜市。簡易テントの屋台やのぼり旗が立ち並ぶ中、鮮やかなレインボーフラッグを軒先に掲げた「おっかまん」で、午後6時の開店に向けた準備が進んでいた。バーのスタッフは、ママのエヴァさん、重美さん、チェリーさん。3人とも、見た目はあでやかに化粧をした「女性」だ。



 夜市への出店を思い立ったのはエヴァさんだ。09年、エヴァさんの自宅に、女装をしたい人たち数人が女性用のカツラや洋服を持って遊びに来た。一人が「ママ、これ履いていい?」とエヴァさんに見せたハイヒールは、靴底がまっさら。一度も外へ履いて出たことがないのだと一目で分かった。東京など大都市では、性的マイノリティーが集うイベントや市民団体が設立されているが、地方では居場所は少ない。「その子たちが好きな格好をして外へ出ることができる機会を作りたかった」とエヴァさんは振り返る。



 「おっかまん」では、性的マイノリティーを指す際に広く使われる「LGBT」という言葉に、Qを加えた「LGBTQ」という表現を用いる。英語で「奇妙な」という意味の「クィア(Queer)」という差別用語を逆手にとり、さまざまな少数派を肯定しようとする性的マイノリティーの運動に基づいた言葉だ。「性のあり方は多様で、LでありながらTである人や、LGBTのどれでもない人もいる。『Q』には、そうした性のあり方すべてを含めた言葉という意味もある」と重美さんは話す。



 バーには性的マイノリティーはもちろん、親子連れや外国人など県内外からさまざまな人が集まり、今では夜市の名物屋台のひとつだ。開店以来毎月欠かさず訪れるという60代の女性は「毎月ここに来ることが楽しみで仕方ない。みんな気持ちが優しいし、会話が楽しい」と話した。
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